アウグスト・ボアール(Augusto Boal)と応用演劇

アウグスト・ボアールは、演劇の手法を社会ために使う、応用演劇の基礎を作った人物である。

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アウグスト・ボアールは、演劇の手法を社会ために使う、応用演劇の基礎を作った人物である。彼が社会を変革するためにつくったフォーラムシアターや彫刻演劇などは、形を変えながら進化し、現代でも教育の現場やセラピーの場でも使われ続けている。

ボアールはブラジルのリオデジャネイロで生まれで、ニューヨークのコロンビア大学で演劇学と化学を専攻する。その後はブラジルに戻り、サンパウロのテアトルアレーナで指導を始める。

ボアールの人物像を探るうえで重要な要素が3つある。

この要素を理解していないと、彼の用いようとした手法の核心が掴めず、その効果が十分に引き出せない。

①ベルトルト・ブレヒト

マルクスに傾倒し、社会変革を目的とした演劇を作った人物。シェイクスピアやギリシャ劇で見られるような理想を追い求めるような演劇に反対し、より正しく情報を客観的にみる叙事的演劇をつくる。ボアール自身、テアトルアレーナ時代から、従来の西洋的な演劇を壊し、社会を変革するための演劇を目指してきた。

②当時のブラジルの状況 

元々ブラジルは、ポルトガルの植民地であり、ポルトガル王家の継承する王国として出発した国である。政治的には、南米では安定していたが、未開地も多く、そして国内に多くの民族が存在していた。また、日本から移民のように、世界からの入植者が多く、文字や言語の基盤が作られておらず、識字率の低さは大きな問題であった。

また第二次世界大戦後は、ブラジルで安価な人材と、豊富な資源が手に入るということで、アメリカがブラジル国内に多くの工場を建設した。ブラジルは外貨を多く獲得した一方で、貧富の差が広がり、裕福層によって貧困層にいる人が搾取されるということが多かった。

その社会的状況を変えるために、ボアールは聴衆を巻き込むような演劇手法を考案し、国民の問題意識を高め、社会を変革しようとした

③パウロ・フレイㇾの識字教育

先でも触れたように、ブラジルの課題の一つに、つまり識字率の低さがあった。その問題に取り組んだのがパウロ・フレイㇾであった。ボアールも、識字率を上げるために、識字教育にフレイㇾとともに取り組むんだ。しかし、当時軍事独裁政権であったブラジル政府から、彼の芸術を越えた社会活動は目をつけられ、ボアールは拘束され、そして拷問まで受け、亡命を余儀なくされた。

後に、フレイㇾの著作「被抑圧者の教育」にならって、ボアールは「被抑圧者の演劇」として著作を発表した。(ちなみに日本語の翻訳版は絶版である。)

以上の3つの要素は、ボアールの手法を使う上で、頭にとどめておきたい。それによって、彼の演劇手法が現代においても、誰を相手に、何の目的で行うべきなのかおのずと見えてくる。

そのうえで、ボアールの提案するフォーラムシアターや彫刻演劇など、彼の手法は本当に多くの可能性に満ちている。

私たちも、中高生向けのためにフォーラムシアター実行に向けて進行中である。

 

【参考文献】

・小林由利子・中島裕昭・高山昇・吉田真理子・山本直樹・高尾隆・仙谷桂子 「ドラマ教育入門」 図書文化 2010

・August Boal Theatre of the Oppressed 1979

【写真出典】

ウィキペディアより

https://en.wikipedia.org/wiki/Augusto_Boal#/media/File:Augusto_Boal.jpg

 

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秋江智文
18年間の俳優経歴とイギリス留学経験を活かして、大手塾の人気英語講師として活躍。イギリスでは、Trinity College London level 4 associate diploma in Speech and Dramaを取得し、マイケル・チェーホフメソッドの国際的な講師から指導を受ける。現在は俳優としての活動のほか、演劇を使った社会人のための能力開発や語学力向上のための講座を行っている。一般社団法人日本グローバル演劇教育協会では、運営に関わりながら講師としても活動している。 インターラクティブで活気がある雰囲気、その場だけ満足するStudy「学ぶ」ではなく、人生を変えるLearn「身につける」を体験型のクラスで実践している。参加者一人ひとりのどんな悩みでも聞き、ワークを使って解決、より楽しく前向きに仕事や生活ができるようにサポートしている。

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