インプロとは?

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インプロ

インプロとは?

インプロ(Improvisation / Improv)は、「即興」全般を指す使われ方もしますが、即興のパフォーマンスを主に指します。なかには、シアターゲームをインプロと称しているものもあるので混乱しがちですが、遊び系はシアターゲーム、演技系はインプロという区分けがしっくりきます。
俳優訓練のなかにはエチュードというものもありますが、これは戯曲の下敷きがあったり、筋が決まっている状態で即興で演じるものです。インプロという場合、演じる側もどういう展開、どういう結果になるかわかりません。

インプロといえばキース・ジョンストン

イギリスのキース・ジョンストン(Keith Johnstone)が有名です。1960年代から活動を本格化し、彼は、様々なショータイプのインプロを考案しました。シアタースポーツ(Theatresports)は世界中で広がりました。

アメリカでは、シアターゲームの元祖ヴァイオラ・スポーリン(Viora Spolin)の息子ポール・シルズ(Paul Sills)らが、シカゴで「セカンド・シティ(The Second City)」という即興劇団を1959年に作り、そこからスターが生まれ、アメリカに広がりました。

それ以前にも、即興が魅力のコメディア・デラルテという演劇形態がイタリアを中心に栄えましたし、俳優訓練の大家コンスタンチン・スタニスラフスキーは、晩年即興を多く取り入れて指導していました。俳優教育から、一般の教育へと広がっていったのはここ5~60年の間です。

自由さと「今」への没頭

インプロやシアターゲームは、原則「即興」です。つまり、準備せずに、「今」という瞬間に飛び込み、予測不能さを楽しむということです。

ビジネスマンへのインプロ指導
ビジネスパーソンへのインプロ指導

これは、多くの人の社会での行動とは異なります。多くの人は、未来がわからないため、たっぷり準備しようとします。できる限り予測外のことが起きないように守りに入ります。それでは、新鮮で生きたものにはなりません。

オープンな心で即興に飛び込むとき、人はイキイキとします。人間は基本的に自由が大好きで、直観的に行動したいと思っています。インプロやシアターゲームは、人間本性の欲求を刺激します。

なんでもありか、質を追求するか?

しかし自由さにもジレンマがあります。なんでもありのインプロショーが多く見られますが、なんでもありですと、質は高くなりません。意味不明の行動や、不可解なコミュニケーション、自己中心的な目立ちたがり行為が見られます。

自由さと質の両立を目指す

従って、質を求めることが大切になります。例えば、ビジネスパーソンへのインプロ指導の場合、相手の言動から相手の意図や感情を理解し、相手のニーズを満たす行動を即興で対応したりします。場の状況を理解し、他者の意図や感情を汲み取り、その上で適切に判断し行動をするようにすると、自由な環境の中で質の高い行動が取れるようになります。

ショーであれば奇抜なものもウケるでしょうが、インプロを教育として考えるならば、質を追求すべきです。

青少年から大人まで あがり症克服からビジネストレーニングまで

別役慎司が20年以上インプロを指導してきて、青少年から大人や俳優まで幅広く有効であることを実証してきました。また、あがり症の克服や、ビジネスのコミュニケーショントレーニングとしても非常に効果があることを確認しています。

Thinker50にも選ばれたダニエル・ピンクは著書の中で、「20世紀は台本通りに演じることで人を動かす時代、21世紀は台本なしで相手との即興的なやりとりのなかで人を動かす時代」と述べています。事実、成功している営業マンは即興でのやりとりが得意です。

Improvisation Starters
Improvisation Starters

ところで、別役のインプロは、キース・ジョンストン系のインプロでもなければ、セカンド・シティ系のインプロでもありません。最も参考にしてきたのがフィリップ・ベルナルディ(Philip Bernardi)です。

シンプルなインプロ設定集ですが、この上で、対象に合わせて指導法を変えています。なんでもありのインプロではありません。元々俳優訓練から応用させているので、質が伴ったインプロになります。

どんな風にインプロをやるのか?

実際にプログラムを組む場合は、インプロ単独ではなく、シアターゲームと組み合わせることが多いです。両者は相性が抜群です。下のは、だいぶ昔の紹介動画ですが、ビジネス向けの「殻破りインプロ」の動画です。

別役流のインプロでは、下記のような設定を与え、設定に基づき打ち合わせをしたのち、即興で演じます。ビジネス向けを「ビジネスインプロ」と呼んで、選りすぐった設定で行っています。

【インプロ例】

BUSINESS IMPROVISATIONS

旅行の相談

A:速くて便利な飛行機を使いたい。
B:経済的で、ゆっくり景色も楽しめる電車を使いたい。
C:免許を取ったばかりなので、車で行きたい。

■打ち合わせのポイント
・三人の関係は。
・どこに旅行しようとしているのか。
・何泊の旅行なのか。
・話し合っている場所は。

■自己設定のポイント
・その交通手段を使えば、どういうメリットがあるのか。
・相手の交通手段のデメリットはなんだろうか。

参照「FEATHER IMPRO ACT PROJECT」
http://www.feather-project.com