2024年11月16日(土)、わたしたちはさいたま市の公立校「大宮八幡中学校」を訪問して、シアター・イン・エデュケーション「星の王子さま」を上演してきました。
大宮八幡中学校について
大宮駅から車で20分ほどの離れた場所にある市立の中学校です。全校生徒は13クラス480名ほど。ユネスコスクールにも指定されています。SDGsも勉強してそうですから、「地球の贈り物」も候補でしたが、キャストの関係で「星の王子さま」にしました。
大人数でのTIEという挑戦
TIEは参加型であるという根幹の性質から、少人数向けです。中学校一年から三年まで全校生徒を相手にするということで、まず課題になるのは「全員を参加させることはできない」ということです。
TIEでは、シアターゲームをしたり、リフレクション(質疑応答)をしたりするので、ワークに参加する中心人物を決める必要があり、各クラスから1名学級委員を選出して、前方に座り、代表参加者とする作戦を採りました。
そして、時にはファシリテーターがステージ下に降りて、代表参加者にリフレクションをします。
過去最大人数のファシリテーション
TIEで最も重要なことは、演技力ではなく、ファシリテーション能力です。TIE「星の王子さま」では、飛行士がメインのファシリテーターとなっています。今回、別役慎司が飛行士の役を演じました。講座でもファシリを教えている別役が、過去最大人数総勢600名を巻き込むファシリに挑みました。
校長先生が「参加型ということですので楽しんで」と冒頭でおっしゃってくれていて、こういうのも大事です。「大人しく観なさい」なんていわれるとうまくいきません。
「ぼくが誰だかわかる?」の冒頭の台詞からつかんでいかなくてはいけません。最初はやっぱり堅い印象でしたが、「視線は感じるけど声は聞こえないな~」といじると、すぐに会場から聞き取れないほどいくつかの声がしました。「パイロット!」と大きな声でいってくれる男子がいました。
そこから、「大人だと思う、子供だと思う?」のやりとりで、お世辞をいってくれる生徒とかもいて、会場がどっと沸いたりして、最初で空気作りができました。
代表参加者はいるけれど、後ろの460名以上の生徒と100名ほどの保護者を無視するわけにはいきません。つまり最初の飛行士一人のやりとりで、会場全体の空気作りをする必要がありました。そして、それはうまくいったのです。
代表者は、舞台上にのぼって、王子が巡った6つの星の住人がどんな人なのかを探ってくるシーンがあります。キツネや赤い花、ヘビを演じる3名が星の住人役もやります。
そのあと、飛行士がインタビューしながら、どんな住人だったかを発表してもらいます。これも、盛り上がりました。代表者だけのワークだと、会場の生徒は飽きてくるかなと思ったのですが、友だちや先輩後輩が前に出て行っているのは面白いらしく、注目度も高かったです。
また、終盤の飛行機の部品づくりとしてのシアターゲーム「マシーン」では、見事に連携して、二つの部品を作ることが出来ました。これは声も身体も使ってのワークなので、会場の生徒たちも観て楽しむことができていました。
また代表の学級委員たちは、マイクを向けられるとすぐに答えていて、テンポが崩れることなく進みました。途中から、代表者だけでなく、後ろの生徒たちからも話を聞いたので、更に盛り上がることができました。
ただ観るだけでない、気づき、考え、楽しみ、心に残る舞台を
TIEは、ただ一方通行的に観るお芝居ではありません。参加型です。それ故に、様々な工夫がされています。観客は、ともに考え、気づかされ、楽しむことができます。なので、心に残るのです。花束贈呈のさいにも、代表者がそうした素晴らしさを感想として語ってくれていましたし、終了後「思ってたよりすごく楽しかった」といっていました。
彼らにとってはなにをやるかわからず、冒頭の司会から「上演時間は80分」と聞いたときに、「え~」という声があったくらい、あまり期待はなかったのですが、完全に覆すことができてよかったです。
「また来て下さい」という声も嬉しかったです。そんなこんなで、中学校でのシアター・イン・エデュケーション「星の王子さま」を終えました。