姫路女学院にて演劇サマープログラムを実施

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姫路女学院 演劇特別プログラム

今年春より「演劇」の授業を開始しております姫路女学院中学校ですが、夏休みの8/17,18と二日間かけた特別プログラムを実施いたしました。その詳細をご紹介します。

企画段階

夏休みは、少し間が空いてしまうというのもありますし、逆にまとまった時間が取れる特別な期間でもあるので、サマープログラムについて姫路女学院さんと話し合いました。ぼくがやりたかった候補は2つあり、一つはMantle of the Expert、もう一つはビジネス研修でやっている舞台創造研修です。蒜山にセミナーハウスがあるということで、合宿でやるなら舞台創造だろうと決めました。しかし、セミナーハウスでの合宿は学校サイドの判断でなくなり、学校で実施する形になりました。

春から月1で演劇教育をやりにいっていますが、課題が色々ありまして、「なにも知らない&なにもできない」という状態からスタートして、慣れない人前で表現するということをやらせているので、とても慎重かつ大胆に授業プランを作っています。特に引っ込み思案の子たちに関しては、テコ入れサポートをしたいと感じていました。また、一人ひとりと向き合う時間があまりないので、合宿であれば、一人ひとり面談したいとも思っていました。今回、面談はできませんでしたが、じっくりと彼女たちを見ることが出来、大変有意義な時間となりました。

アイスブレイクワーク

さて、本チャンの1日目。9:30~16:30までの長丁場となっています。
この「舞台創造サマープログラム」は、一言で言うと、チームで一つの演劇作品を作って発表するというものです。衣裳や小道具も全部自分たちで作り、演出家のもと稽古をし、最終的に発表します。その過程でチームワークや創造性、個性の尊重、表現力など、様々な気づきとスキルアップを促します。

みんなでクラップ最初はアイスブレイクとして簡単なゲームを行いました。「Fast Walk Freeze」は、集団行動とエネルギッシュになることを意識させる歩くワーク。次の「みんなでClap」は、チームワークと他者に合わせるということを意識させるものです。これから始まるプログラムの準備として、各チームの連帯感と意識付けを行いました。

 

作品決定とチーム会議

企画会議その後別室へ移動して、チーム毎に席に座ってもらいます。いよいよプログラムのスタートです。どんなことをやるのか説明し、各チームのリーダーによるクジ引きでの作品決定になります。その結果、Aチーム「セロ弾きのゴーシュ」、Bチーム「シンデレラ」、Cチーム「ブレーメンの音楽隊」になりました。

チームの会議のなかでは、「リーダー、副リーダーを決める」「衣裳班、小道具班の役割振り分け」「配役を決める」「作業手順確認」など、様々なことを自分たちだけで話し合って決めてもらいました。

5つの注意事項その後、今回のプログラムで意識してほしいこと5つを説明。「時間を守る」「予算を守る」「チームワークを発揮する」「オリジナリティを出す」「クオリティを高める」です。(社員研修の場合は、PDCAや5Sなど、もう少し専門的なビジネススキルで解説します)

 

材料購入と製作

販売所そして、いよいよ製作がスタートです。各チーム、架空の通貨で30リベラルという紙幣を持って、販売所へ。衣裳班と小道具班がうまく連携しながら、お金を使い、製作していかなければなりません。声を掛け合いながら、限られた時間の中でどんどんと作っていきます。

この辺は、チームメンバーのなかでもイラストやデザインが得意な子、工作が得意な子が活躍します。人前でとてもおとなしい子が、細部までこだわった衣裳を作っていたり、知らなかった一面が見れるのが醍醐味です。

製作学校の机や床を傷つけたり汚したりしないように配慮したり、整理整頓清掃を意識するのも、プログラムの狙いの一つです。

また、実際に演じてみると、破れたり、脱げなかったり、いろいろな問題が生じます。つまづくことで、そこから改善や解決を見つけていきます。
午前中に50分行い、一旦全部整理整頓し、お昼休憩へ。

小道具・衣裳作り

同時進行の製作と稽古

稽古午後からは演技の稽古も始まります。1チーム約20分交代で、別室へ行き、演出家であるぼくの指導のもと、演技を作っていきます。台本はありません。その場で、台詞を考えたり、覚えないといけません。
稽古していない時間は、引き続き製作です。稽古で問題が生じたり、演出から注文を受けたら、次の出番までにがんばって対応します。こうして、3時間行いました。稽古時間はトータル1時間ですので、製作時間は2時間です。

セロ弾きのゴーシュたった1時間で1つの作品を全部作るんですから、かなりの突貫工事的スピードです。子どもたちは、ほとんどプランがないので、どんどんぼくのほうでアイディアを出して、台詞や動きを与えていきました。普段無口でほとんど話さないような子も、全員出演がルールなので、とても大変だと思いますが、なんとか3チーム、通すところまで辿り着きました!(これはヘトヘトになります)

翌日は本番。残って練習したり、小道具や衣裳のクオリティにこだわって更に作業を続けたり、チーム一丸となって取り組みました。

ブレーメンの音楽隊

ホールでの発表会

2日目は本番です。9:00~12:00。大雨で警報が発令しないか心配されましたが、奇跡的に兵庫でもこの姫路地区はセーフでした。発表会の会場となるイーグレ姫路に集合。休みもおらず安心しました。

イーグレ姫路最初の1時間に、3チームが1回ずつ通し稽古を行いました。教室での練習よりも、もっともっと声を出さなければお客さんまで届きません。また、お客さんに見える動きを心がけなければいけませんし、衣裳や小道具を上手と下手のどこに置いておけばいいのかも考えておく必要があります。

各チーム、リーダー中心に声を掛け合って、サポートしながら本番に備えました。本番は、保護者の方々がお見えになり、客席からご覧になりました(ビデオ撮影されている方も)。また中学校の教員全員も見守るなか、本番が始まりました。

 

ブレーメンの音楽隊セロ弾きのゴーシュ

さぁ、緊張の本番! 「ブレーメンの音楽隊」「セロ弾きのゴーシュ」「シンデレラ」の順番で披露されました。練習のとき恥ずかしくてできなかったことも思い切りやったり、アドリブを入れたり、不測の事態を見事にカバーしたり、とても素晴らしい発表になりました。直前リハーサルのときより、みんな声も出ていましたし、アドリブも多かったので驚きました。
昨日今日という短い時間で、5~7分の芝居をしっかり演じきることができたのですから、褒めてあげたいです。

イーグレ姫路シンデレラ

表彰式、記念撮影、振り返り

飛び上がって喜ぶ全3チームの発表終了後、教員の皆さんの審査によって、演技賞・衣裳賞・小道具賞が与えられ、総合大賞も発表されました。今回の大賞は「シンデレラ」でした。おとなしい子が多いチームでしたが、最も本番で化けましたね。トラブルもあったのですが、アドリブでカバーして進行したのも良かったです。

表彰式のあと、記念撮影を行いました。保護者の方にも自由にバシバシ撮ってもらいました。

振り返りそして、最後の締めとして、円になって一人ずつ感想を述べる振り返りを行いました。一人ひとりの感想って、優等生発言だったり、ありきたりな言葉が多くなりがちですが、今回とても濃密だっただけに、様々な本音の感想が出てきて、色々な気づきがあったことをうかがわせました。
この振り返りも、保護者の方々に聞いてもらっていたので、良いプログラムだったと実感してもらえたのではないでしょうか。また、中学校の教員総出で今回はサポートしてもらいましたが、関わって頂くことで演劇教育を目の当たりにできて、理解が深まったのではないでしょうか。

総括

これまでこのプログラムは、若くても高卒の新入社員相手でしたので、12~3才の子どもたちを対象にしたのは始めてです。製作時間を1時間長めに取ったりと工夫しましたが、一番の問題は演技。無口でおとなしい子がたくさんなので、いかに短時間で引き上げるか、かなりエネルギーを使いました。なにせ練習時間は1時間のみですから。結果的には誰一人逃げることなく、演技と向かいあい、自分なりのベストを出してくれました。これもチームで臨んだからだと思います。仲間のためにも、がんばってきたことを無駄にしないために、やらなきゃと思えたのではないでしょうか。

仲間を称え合う

月一回の授業で、行く度にクラスの様子や人間関係が変わっていたりして、コンスタントに関われないじれったさを感じていましたが、今回二日間かけて、じっくり彼女たちと取り組めたのは貴重でした。これが四回目の授業ということになりますが、結構成果は感じています。

総じてとても楽しくプログラムをやることができました。姫路女学院の窓口になっているお二人は、一級講座を受講されたのがきっかけですが、今回も通貨や表彰状を作ってくれたり、色々と準備を進めてくれました。教員の方々も、見学や手伝いをしてくださり、みんなで創り上げた感満載のプログラムだったと思います。