2018年の6月~7月、9~10月に引き続き、12~1月に3クール目となるインプロワークショップをせたがやサポートステーションで行いました。今回は、新しい4回のプログラムを用意しました。
地域若者サポートステーション(通称サポステ)は、 働くことに踏み出したい若者たちとじっくりと向き合い、 本人やご家族の方々だけでは解決が難しい「働き出す力」を引き出し、 「職場定着するまで」を全面的にバックアップする厚生労働省委託の支援機関です。
1.実施概要
インプロワークショップⅡ
12/18 第1回 テーマ「緊張に負けず、知らない人でも会話を展開させる」
12/25 第2回 テーマ「集中力と判断力とエネルギーを鍛える」
1/8 第3回 テーマ「自由な発想力で、イメージ豊かに人に伝える」
1/15 第4回 テーマ「自分に自信を持つ。集団の中で振る舞う」
合計8時間
平均10名ほどが参加し、総計19名が参加してくれました。
4回全てに参加した人は6名でした。
2.Beforeアンケートによる現状の課題把握
今回も前回同様、Before&Afterのアンケートを採ります。といっても、全参加するとは限らないので、現状の課題把握としても用います。
以下の質問に対して5段階で自己評価をお願いします。数字に〇をつけてください。
数字が高いほど、「自信がある・満足している」で、数字が低いほど「自信がない・満足していない」の意になります。3が「普通・どちらでもない」です。 |
1―――2―――3―――4―――5
という感じで数字をつけてもらった平均がこちらです。( )は前回の数値です。
項目 | 平均 |
【問題を解決できる】多角的に考え、問題を解決させていくことができる。 | 2.17 (2.75) |
【理解し合える】他者の話をよく聞き、共感し、理解することができる。 | 3.17 (3.25) |
【協力し合える】自発的に行動し、他者と協力することができる。 | 2.75 (2.63) |
【良好な関係性を築ける】社交的にふるまい、他者と良い人間関係を結べる。 | 2.42 (2.5) |
【集団をまとめられる】リーダーシップを発揮し、集団のために臨機応変に対処できる。 | 1.92 (1.38) |
【チャレンジできる】決めたことに集中して取り組み、挑戦することができる。 | 3.08 (2.88) |
【誠実で人を尊重できる】他者の視点に立って誠実な心で接することができる。 | 3.33 (3.38) |
【やり遂げられる】忍耐強く、意志力を発揮して最後まで取り組むことができる。 | 3.08 (3.13) |
【オープンになれる】好奇心を持ち、豊かな感受性で周囲の世界を感じられる。 | 3.33 (3.13) |
【ポジティブに捉えられる】物事に対してポジティブに考えられ、自信をもっている。 | 2.42 (2.13) |
【対話・会話をできる】1対1や複数人相手でも自然に会話することができる。 | 2.17 (2.25) |
【発信・説明できる】声をしっかりと発して、わかりやすく説明することができる。 | 1.92 (2.50) |
【アイディアを出せる】想像力を膨らませ、柔軟に考え、新しいアイディアを出せる。 | 2.73 (3.0) |
【身体で表現できる】表情を豊かに出したり、ジェスチャーを使って伝えられる。 | 2.83 (2.38) |
【感情を表現できる】感情を外に出し、エネルギッシュに行動できる。 | 2.17 (1.88) |
12名
上記15項目は、上から5つが「人と関わる力」真ん中の5つが「心と個性」下の5つが「人に伝える力」です。
前回の平均値とも比べてみましたが、数字は似ていますね。サポステに参加している人たちの課題感が浮き彫りになってきました。心と個性に関しては、なかなか数値が高いのですが、人間関係のなかでパフォーマンスに苦手意識を感じています。
3.Afterアンケートによるインプロワークショップの成果
全4回のプログラムを実施し、最終日にアンケートを記入してもらいました。とはいえ、全プログラム参加したものもいれば、そうでないものもいます。Beforeで問うた15項目に対して、インプロワークショップで、自信度と満足度アップに寄与できたのでしょうか? 項目を数値であげて可視化してみます。
成果については、下記のようにポイントで可視化した。
既に自信・満足があった/あまり変化はなかった……0p
少し自信・満足になった……1p
かなり自信・満足になった……2p
項目 | ポイント |
【問題を解決できる】多角的に考え、問題を解決させていくことができる。 | 4 |
【理解し合える】他者の話をよく聞き、共感し、理解することができる。 | 6 |
【協力し合える】自発的に行動し、他者と協力することができる。 | 8 |
【良好な関係性を築ける】社交的にふるまい、他者と良い人間関係を結べる。 | 8 |
【集団をまとめられる】リーダーシップを発揮し、集団のために臨機応変に対処できる。 | 3 |
【チャレンジできる】決めたことに集中して取り組み、挑戦することができる。 | 7 |
【誠実で人を尊重できる】他者の視点に立って誠実な心で接することができる。 | 6 |
【やり遂げられる】忍耐強く、意志力を発揮して最後まで取り組むことができる。 | 5 |
【オープンになれる】好奇心を持ち、豊かな感受性で周囲の世界を感じられる。 | 5 |
【ポジティブに捉えられる】物事に対してポジティブに考えられ、自信をもっている。 | 4 |
【対話・会話をできる】1対1や複数人相手でも自然に会話することができる。 | 5 |
【発信・説明できる】声をしっかりと発して、わかりやすく説明することができる。 | 5 |
【アイディアを出せる】想像力を膨らませ、柔軟に考え、新しいアイディアを出せる。 | 6 |
【身体で表現できる】表情を豊かに出したり、ジェスチャーを使って伝えられる。 | 5 |
【感情を表現できる】感情を外に出し、エネルギッシュに行動できる。 | 4 |
8名
プログラムⅠと違うワークを行ったプログラムⅡですが、全体的にまんべんなくポイントはついています。人によって実感できた項目が違うというのはよいことだと思います。既に満足していた、につけていた項目もちらちら見られました。
上の5つの「人と関わる力」で29p、次の5つの「心と個性」で27p、次の5つの「人に伝える力」で25pと、まんべんなく高い成果を挙げられています。スピーチのワークの回が、人数が多くて、一人当たりの実施回数が少なめだった分、前回ほど人に伝える力のポイントは伸びませんでした。
4.Afterアンケートによる満足度や個々の感想
演劇ワークショップの満足度はいかがでしたか?の質問に対しては「大変満足」が5名 「まぁまぁ満足」が1名で、「普通」が2名でした。「普通」をつけた2名は、「場所が野毛青少年センターがよかつた」「異性がいて緊張した」ということで、内容とはあまり関係がありませんでした。
感想・メッセージ
「最初、先生のアドバイスに困惑していた自分がいましたが、会話の大切さを学べたワークでした。出会えたことに感謝してます」
「第一弾に続いての参加ですが、とても面白く、自らの気分や沈んでいた心、感情を無理矢理にでも明るくさせて、一時だとしても発散させる効果もあると思いました。また次回に機会がありましたから参加したいと思います」
「楽しめました。ありがとうございました。改めて、自分の長所・短所(主にコミュニケーション、つい相手の意見を否定してしまう)を意識できるようになりました」
世田谷サポートステーションにて、2018年12月18日~2019年1月15日まで、全4回、1回2時間で実施。受講者数は平均10名ほど。講師はGLODEA代表理事の別役慎司。
5.3回目のサポステでのワークショップを終えて感想
今回、新しい4回のプログラムで臨みました。その中には、試験的に少し難しめのワークも入れました。それは新入社員研修などで実際にやっている内容でもあります。一般企業の新入社員と比べると、積極性が出せなかったり、うまくコミュニケーションが取れなかったりという姿が見受けられますが、自分と向き合いながらよく取り組めていたと思います。リーダーシップ系のワークやレジリエンス系のワークも今回導入してみましたが、思っていたよりも手こずっていたなぁと感じました。
毎回参加者にバラツキがあるので、しっかりと固定メンバーで継続することができれば、より一体感や達成感が生まれるのではないかと思います。
普段、ぼくは彼らと面談もしていませんので、彼らの悩みや環境を知りません。ワークショップに参加している様子だけで判断し、声をかけているのですが、ワークショップ外の小さなコミュニケーションも取れればよりエンパワメントできるのではと思います。
せたがやサポステさんからは、「先生の一言や、褒められたことがとても大きいようです」という声も頂きました。次回は春ぐらいにまたやらせてもらう予定です。