日本初?中学生にフォーラムシアターワークショップ

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Forum Theatre

姫路女学院中学校にて、6月3日と7月1日にフォーラムシアターの講座を行いました。
6/3は1年生も参加しましたが、主に3年生対象として実施しました。
中学生がフォーラムシアターをやるというのは、日本では他に聞いたことがなく、大変珍しいことだと思います。時間がかなりタイトではありましたが、問題解決能力を養う上で、フォーラムシアターワークショップはとても良い機会になったのではと思います。

6月3日

フォーラムシアター 中学生

初回は、まずフォーラムシアターについて教え、モデルケースを実際にぼくがジョーカーとなってやってみました。

通常大人向けにやってる講座なので、時間をかけて説明しました。
その後、みんなのアイディアでフォーラムシアターをつくろうということで、ポストイットを使って、抑圧vs被抑圧の社会課題をブレストしてみました。「学校」「家庭」「その他、社会」と分けて、ホワイトボードに整理しました。

姫路女学院中学校そこから、興味のあるジャンルで3つのグループに分かれ、1年生・3年生混じって、ディスカッションを深めていきました。

①テーマを設定する
②テーマを具体化し、演じるシーンのシチュエーションを考える
③シーンのシナリオを作る
④ジョーカーとアクターの配役を決め、シーンの練習をする
⑤フォーラムシアターを実践する
⑥振り返りをする

という、結構大変なことをやらせましたが、短い時間のなかで、主体的に話し合って、準備することができました。(本当はもっとたっぷり時間を与えたいところでしたが、時間枠があるので仕方がありません)

チームの中で、ジョーカー、アクターになりながら、フォーラムシアターの本番をやりました。この辺の演技とファシリテーションが一番難しそうでしたね。しかし、スペクトアクターからのアイディアをもらいながら、なんとか形にすることができました。

台風直撃で、急遽1年生も参加ということになったイレギュラーなワークショップでしたが、一緒に混じってやれたこともよかったのではないかと思います。
日本で中学生がフォーラムシアターをやるという、歴史的な日でした。

第4回リベラルアーツデー

7月1日

そして、二回目のフォーラムシアター講座は、3年生のみ対象で、なんとSDGsを絡めたものです。この日も一からフォーラムシアターを作っていくために、午前中からSDGsの17項目に対して、「社会課題」「抑圧vs被抑圧の関係」をペアで調べてもらい、発表してもらいました。

姫路女学院中学校もう、これだけで午前中終わってしまい、残り50分で、フォーラムシアターの設計と準備、最後の50分でフォーラムシアターの発表というタイトすぎるスケジュールに。

3チームに分かれて行いました。
みんなには「大学生レベルのことです」といっていたけれど、考えたり、ディスカッションしたり、発表したりというのは、実によく出来ていたといえます。

様々な社会課題が存在していますが、SDGsに照らし合わせながら、知識を深め、問題意識を高められたと思います。

最後は3チームが順番に発表。持ち時間は15分間です。
「ユニクロのようなグルーバル企業と契約している綿花農園。安価な賃金で働かされている労働者を助けるにはどうすればいいか」
「肩をぶつけられ、治療費を要求してくる当たり屋。通行人はスマホで撮影している。法外な要求に屈しないためにはどうすればいいか」
「夫婦離婚で、母親に引き取られた子ども。貧困によって母親は精神的な病気も。どうすればいいか」
というテーマの寸劇になりました。

SDGs手作りフォーラムシアターは、しっかり進行できたとはいえないけれど、この難しいものをよくやれたと思います。寸劇も、自分たちで考えて、自分たちで演じているわけですから、演劇の授業の成果が出ているのではないでしょうか。

ということで、授業のなかでではありましたが、中学生が被抑圧者の演劇フォーラシアターを行うということをやりました。前々からやってみたいとは思っていたので、よかったです。今後は、例えば商店街や企業とコラボして、一般市民の前でこうしたことができたら素晴らしいなと思います。

 

三年生の感想より

 

フォーラムシアターを体験して印象に残ったことは二つあります。一つ目は、SDGsの解決策を新しい方法で見つけることが出来たこと。二つ目は、観劇者はただ観るだけではなく、一緒に考えるということです。SDGsは私たちにとって遠い存在だと思っていました。ですが、実際に演じることによって、私たちも深く関わることだとわかりました。

これまでの授業の中で最もSDGsについて深く考えたと思いました。SDGsの一つひとつの目標を丁寧に考えるときに、抑圧者、被抑圧者の位置関係を正しく速く整理することは、どの場面にも使えるのではないかと思いました

討論で出た意見や提案の中には、実際に根本的な問題を解決できそうなものや、一時的にしか解決にいたらないだろうと思うものもありました。結局、明確な問題解決には至らなかったものの、考える時間や考えることそのものに意味があるんだなということに気づくことか出来ました。

今回のフォーラムシアターを通して、観客のアドバイスによって物語が変わっていったり、実際に観客が前に出て芝居をしたりして、一緒に物語を作っていけるというのがとても良いなと思いました。