演劇教育家インタビュー第2回 演劇ファシリテーター ジェン・カミリン 

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jen camillin フォーラムシアター

「未来のために前進する演劇教育家インタビュー」第2回は、特別版。海外の演劇教育家のインタビュー第二弾です。イギリスの演劇ファシリテーター、Jen Camillin氏の語るフォーラムシアターとファシリテーターについて。


 

演劇教育活動の始まりは?

演劇は、本当に本当に熱心に関わっていた科目でした。学校外でも、学生演劇に課外活動として加わっていました。他の人たちとそういう活動ができることがとても楽しかったですし、幸せを感じさせてくれ、みんなで討論したり、創作したりするのも楽しかったです。だから大学では演劇の授業に申し込みました。心の底から感じていたのは、私が本当にやりたいのは、ドラマを使って、人と関わる仕事がしたいということでした。俳優になろうとは思わず、演出やデザインをすることが好きでした。でも最もやりたかったことは、ドラマを使ったファシリテートでした。

演劇ファシリテーター・フォーラムシアター ジェン・カミリン

良いファシリテーターとは?

良いファシリテータとして、誰に対しても受け入れる姿勢でなくてはいけません。ジャッジしたり、良い悪いをいうのではありません。学校は、正しい答え・間違っている答えにしがみつきがちですが、ファシリテーターは間違っているとはいいません。

私はそのスペースでの彼らの全ての発言を注視しています。時には、葛藤や緊張が生じる場合もありますが、自分たちが表現することを許されていて、グループで活動しているのですから、最初にやることは、グループ全員が同意できる取り決めをつくることです。

フォーラムシアターを学校に導入するアイディアについてどう思いますか?

註:代表理事別役は、学級会の場で、フォーラムシアターを導入できるよう働きかけていきたいと考えている。

それはすごくいいアイディアだと思います。前向きなことです。私がまず思うのは、フォーラムシアターの役割ですね……昨年私がやったワークショップを覚えているかと思いますが、俳優たちを置くことも、間に立つ人も必要になります。それがジョーカーと呼ばれるファシリテーターです。俳優と観客を繋げる役割を担うものです。

演劇教育家 ジェン・カミリンその人は、導いていくためのかなりの経験が必要でしょう。私の心配は、先生がそれをやったとしても、そのコンセプトや目的がわかっておらず、ジャッジしてしまったり、エンパワーとは違う方向にいってしまうかもしれません。それはフォーラムシアターの基本的に鉄則なのですが。ですから、もし学校でやるなら、私の提案としては、ファシリテーターの仕事をしっかりと理解してもらわなければいけません。それが重要でしょう。

フォーラムシアターとファシリテーター

学校で非常に役に立ちます。私の場合、多くは中等学校です。多くのフォーラムシアターはとても難しい問題を扱います。ロンドンの場合、とてもチャレンジングですね。

若者たちと活動を行ってきて理解できるのですが、世界中の若者たちは、おそらくなんらかの不安を経験しています。小さいものであっても、彼らは共感します。舞台を創るということは、教室のみんなが共感できるので重要です。

 

演劇ファシリテーターとしての醍醐味とは?

ワークショップでの写真
来日ワークショップ

私の喜びは、多くの人々が共感し合えるものに携われることです。若者であれ、大人であれ。私がいつもファシリテーターとして興味を感じるのは、というのも、知識や事実を教えるタイプではないわけで、本当に興味があるのは、教室に行って、そこにいる人々を理解して、これまでにしたことがないであろう方法で、何かを彼らから引き出すことです。

楽しみながら、相互に関わりながら、それができるんです。彼らがなにか達成したり、アイディアを出したりして。だから楽しまないとね。

ブリン・ジョーンズ氏のインタビューは27分間に及びました。後半には、ブリンも加わり、なぜイギリスでは演劇的な手法が学校や地域で受け入れられたのかなど、興味深い質問に答えています。フルバージョンは(社)日本グローバル演劇教育協会の会員特典とする予定です。日本では聴くことの出来ない、濃密なお話をたっぷりと聴くことが出来ます。会員申し込みはこちらから。


ジェン・カミリン(Jen Camillin)

学士号・演劇教育家・演劇ファシリテーター・フォーラムシアター実践家。
「フォーラムシアター」の手法を使って、専門分野のプロと連携し、たくさんの
学校へ訪問。若者の問題解決にあたるほか、こどもたちの共感の場をつくっている。
また、ファシリテーターの育成にも努めている。