演劇教育家インタビュー第9回 シンガポールで幼児教育に演劇を用いる森由佳さん

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シンガポールの演劇教育家 森由佳さん

「未来のために前進する演劇教育家インタビュー」第9回は、シンガポールで日本人の親子を相手に演劇教育を行う、女優の森由佳さんに、シンガポールの演劇教育の事情やご本人の活動についてうかがいました。


 

これまでの経歴・活動は?

今までは演じる側をずっとやってきていて、東京で10年ほど、舞台や映画、ドラマやCMなどさせて頂いていたのですが、家庭の事情でたまたまシンガポールに今住んでいます。そこで海外でやられていシンガポールでのレッスンの様子るドラマ教育というものを知って、そういうものがあるんだと、初めて海外に出てみて知ったんです。そして、これもたまたま、あるスタジオから「そういうのをやってみないか?」と声をかけられたんです。「なんでもいいから、こども向けに表現のレッスンをやってくれないか」といわれたとき、わたしも元々ドラマ教育に興味があったので、「じゃあ、ちょっとやってみます」とお引き受けし、だんだんと形になってきているところです。

シンガポールは非常に教育に熱心であるというイメージがありますが? 

わたしは一人、一歳の息子がいるんですけど、やっぱり母親としていろんな学校や習い事を調べるんですね。すごく教育水準が高いと感じますし、日本人の方もローカルの方も非常に熱心だと感じます。

シンガポールは演劇教育って盛んなんですか?

シンガポール 日本人向け スピーチ&ドラマ盛んというよりは、普通にやられているという感じです。そこが日本と違うところだと思います。ドラマという授業があることになにも驚かれないんです。もちろんインターナショナルスクールのカリキュラムにも入っていますし、ローカルの方が行かれるカルチャーセンターでやっている習い事でも、英語と中国語、それにタミル語とかマレー語の「Speech&Drama」というクラスが結構あったりします。でも、日本語のクラスはないんですよね。

目的としては言語の習得、表現力アップ、コミュニケーションですか?

そうだと思います。もちろん言語習得というのもありますし、ドラマだけでなく、スピーチ&ドラマという形でやっているので人前で話したりとか表現できるということが、人間力全体の向上になると当たり前に知られていて、それを習い事としてやらせたり、学校の人間教育の一環としてやらせたりとかが普通にやられているというイメージです。

日本人の方にドラマを使って教え始めたということですよね

本当に始めたばかりで。現状、集まってくれているのはみんな小さなお子さんが中心です。今は演劇に今後繋がるであろうという初歩的な表現や動き、ごっこ遊びとか、音楽を使ったり工作をしたり、共同でなにかをやるというものを試験的にやっている段階です。

実は、シンガポールで、日本人で表現教育をやっている人が一人もいない状況なので、これからがんばってやっていけたらいいなと思っています。

面白いですね

面白いんですけどね。やはり、周りの日本人の人たちにヒアリングしても、演劇というものと教育というものが結びついていない人が多くて、わたし自身もちょっと前まではそうでしたし、やっぱりこれから認知されていくのがとても大変だと感じますし、認知されていく必要があるなと感じますね。

これからこんな風になっていきたいなど、将来の夢や展望はありますか?

今は現状、小さなお子様に単発でやっているという感じなんですけど、演劇って、言葉を使う、シンガポール 演劇教育声を発することが重要だと思うので、ゆくゆくは幼稚園生向けと小学生向けにレッスンを展開して、ちゃんとそれが定着してほしいなと。日本人で、日本語でも、そういうレッスンをして、一人ひとりの表現力向上に役立ったり、みんなで共同でやることの楽しさを感じたりとか、そういうことが普通に定着してほしいと思いますね。そういうのが広まって、演劇を一個の教育として入れることがすごくメリットがあると、日本人全体に広まっていくといいなと思います。

GLODEAとしても協力しつつ、お力になれたらなと思います。

本当にこれからなので。日本だけでなく、海外に日本人はたくさんいるので、そういう人たちにも広めるということができたら、海外でもそういうことがやられているんだということから注目を集めるのではないかと思います。広まったら、たぶん面白いことになるんだろうなと予感がしています。

是非シンガポールで開拓していってください!

是非是非よろしくお願いします!

シンガポールの演劇教育家としてデビューした由佳さん


森由佳

女優。映画、ドラマ、CM、舞台など幅広く活動し、現在は結婚し、シンガポールに移り住む。
子育てをしながら、日本人の母子向け演劇教育クラスを行う。