演劇教育家インタビュー第13回 専修学校クラーク高等学院の渡邊亮さん

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大阪クラーク高等学院 渡邊亮

「未来のために前進する演劇教育家インタビュー」第13回は、大阪のクラーク高等学院にてパフォーマンスコース長である、俳優・演劇教育家の渡邊亮さんにインタビューしました。


 

クラーク高等学院の特殊な「演劇」の授業について教えて下さい

元々クラーク自体がちょっと特殊な学校で、今いる大阪梅田校は専修学校という形になるんですけれども、通信制のクラーク記念国際高等学校と連携しており、ダブルスクールの高校になります。通信制の単位を取りながら高校卒業資格も取れるし、また専門学校のようにそこで専門的な知識を学べるというカリキュラムを組んでいる、全日制の学校になります。

僕がいるのはパフォーマンスコースで、ここで歌をやりたい、ダンスをやりたい、演技をやりたいと言った生徒が来て、午前中から四限目までは一般教科をやりつつ、五六限からは、歌やダンス、演技を学ぶことが出来ます。生徒たちは毎日通学しながら、学校生活をしています。

生徒たちはプロを目指そうと思ってやってる子のほうが多いんですか?

最初はやっぱり憧れてる生徒も多いですし、声優になりたいとか、ダンサーになりたいとか、歌手になりたいという子も入ってきますし、あと事務所に所属されてる方もいます。ただ、やっぱりクラーク自体が通信制とのダブルスクールなので、中学校通えてなかったという不登校の生徒も半分くらいいます。

一般生徒でそういうのをがっつりやりたいって子もいれば、中学校行けてなくて高校からリスタートしたいという子もいて、彼らのモチベーションのためにも、ダンスや演技などが役に立っています。勉強もついていけないって子も多いので、そういうサポートもありつつ、自分の好きなことをやれることでモチベーションを上げながら、高校もちゃんと通えるようになるというリスタートを応援しています。

 

教育長として、全体的なコースカリキュラムの狙いや、演劇教育の意味合いについて教えて下さい

そうですね。基本的にはベースのカリキュラムとして、歌、ダンス、演技、声優、アクションの5つのコース授業があって、体系的にいろいろ幅広く学んでいます。プロを目指したい人も、幅広く学んだ方が仕事にもつながりやすいですし、1個のことだけじゃなくて、いろんなことをやることによって、生徒の見聞も広がるというところがあります。

あとは年度末には必ず舞台公演をやっていまして、一つの作品を3学年一緒にやるんですが、やっぱり協働性であったりとか主体性であったりとか、そういった人間力を養おうというのがベースとしてありますね。

成果を感じるときはどんなとき?

中学校の頃は自信がなくて、人との会話もうまくできない、先輩後輩関係だけじゃなくて同級生ともなかなか喋れないといった生徒が、表現というツールを通してだんだん自分を解放できるようになって、自分の考えを相手に伝えることができるようになることとか、価値観も、プロになりたい子もいれば普通の大学行きたい子もいるし、ただただ楽しみたいという子もいる中で、まあいろんな葛藤はありますけど、そこでコミュニケーションをすることによって、多様性を認めたりとか、その中で作らなきゃいけない協働性を養ったりとか、そういった成果がありますね。

あとは、もともと特性を持ってる子も多いので、本当に勉強が苦手だったりとか、ちょっと自閉的な部分があったりとか、多動があったりとか、ついつい言いたいこと言っちゃうアスペ傾向の子とかもいながら、本当にいろんな子がいる中で同じ目的に向かうので、こちらが何かこうしなきゃっていうよりは、自分たちが気づいていく、発見していく教育ができるのが演劇教育なのかなと思います。

色んな生徒がいるなか、ファシリテーションやプログラム作りの難しさは

そこはすごい悩みで、今も悩んでいますし、働き始めた当初からもどっちの方向に行けばいいのかは悩みます。高校としては不登校生を受け入れていますし、でもやっぱり特化した教育で才能を開花させたい思いもあるので、こっちを強めればこっちが弱くなるとか、それは生徒自身もすごく悩んでいることですね。なので、自分のいる環境でベストでできることを生徒と一緒に考えながらやってる感覚もありますね。
結局正解が見つからない問題でもあります。全員が人様に見せるものを作らなきゃいけない部分もあるので、「最低限これぐらいは守ろうね」っていう話をしたりとか、人としての礼儀だったり挨拶であったりとか、他人への思いやりであったりとか、やっぱり人間力じゃないですけど、社会を生き抜く力っていうのがベースにあります。そこに向けて、いろんなツールを使ってやっているという形になりますね。

今自分と向き合い、表現というものに熱中しながら3年間を過ごすことでその後の人生にもすごく役に立つのではないか

そうですね。やはり入った時には自分なんかなんて、思ってる子もいますし、プロになりたいと思ってる子もいます。高校3年間の中で挫折を味わうこともありますし、成功体験もあります。じゃあ自分はこういうことしてみたいとか、教えるのは好きだから教育に興味を持ったとか、台本芝居で人の気持ちを考えたりしたことで心理分野に行きたくなる子とか、衣装やチラシのデザインをやって、グローバルデザインの方向に行きたいという子がいたりとか、ほんとうに様々ですね。

渡邊さん、インタビューありがとうございました。


渡邊亮

劇団スイセイミュージカル、劇団ふるさときゃらばんでの俳優経験ののち、
2018年より専修学校クラーク高等学院 大阪梅田校のパフォーマンスコース
コース運営責任者としてカリキュラム作成や指導を行う。
https://seg.ed.jp/osakaumeda/