2019年8月15~17日の3日間集中型で、グローバルドラマティーチャー養成講座1級「グローバルドラマファシリテーター養成講座」を実施しました。大阪のココプラザで、前回2級まで受けた5名が参加し(うち1名はPart1と2のみ)、4名の修了者が出ました。おめでとうございます!
PART1 シアター・イン・エデュケーション編
1級は5時間の講座が4つ合体しています。最初のパート1はイギリスの伝統的な演劇教育「シアター・イン・エデュケーション(Theatre In Education)」です。
講義とディスカッションと実践ワークで組み立てられています。TIEの事例紹介では、「こんなにレベルの高い演劇教育があるのか」と驚きを隠せない様子。
イギリスの教育改革法ERA施行前のTIEプログラムということで、とても野心的で、今の日本ではすぐにクレームがくるかもということですが、裏を返せば、日本の教育がどれだけ制限を受けてしまっているか、生きた教育ができないかを考えさせられました。
そして、みんなでTIEプログラムを1から考えて作って、シミュレーションしてみるという壮大なワークも。ストーリーの部分と、ファシリテーターがリフレクションする部分と、流れるように切り替えながら展開していくのが至難です。
PART2 フォーラムシアター編
そして、次の5時間はアウグスト・ボアールの「被抑圧者の演劇」のなかの有名な「フォーラムシアター(Forum Theatre)」をやりました。
フォーラムシアターの事例などから網羅的に学んだ後は、自分たちでオリジナルのフォーラムシアターを考えてもらい、それを実践しました。考えた人がジョーカー役になり、他の人たちはアクターとスペクトアクターを担当しました。
席を譲らざるを得ない、疲れたOLや、トイレに行きたいけど先生に行かせてくれなかった小学生など、自分たちの経験から抑圧の状況を想像して作成していました。
TIEもFTも、かなり事前に展開を想定するのですが、それでも予想外のことばかり出てきます。それらにどう臨機応変に対応していくのかが、ドラマファシリテーターの腕の見せ所です。
PART3 アプライドドラマ編
そして、第三部は「アプライドドラマ(応用演劇)」です。アプライドドラマやアプライドシアターは、範囲の広いワードなので、TIEやFTも含むんですけど、演劇を使って、いかに社会的・個人的な改善を図っていくかを考えました。
ドラマと脳科学、ドラマとEQについても考察しました。演劇教育の可能性を多角的に。
受講者の皆さんたちで、自由な発想でアプライドドラマを創作していただきました。
TIE編は、講師が導きましたが、企画から全てを受講者で行い、ファシリテーターの役割や、子どもたちの巻き込み方など、脳みそが疲れ果てるほど、考えました。
とても斬新な手法が生まれたと思います。
詰めが甘くて、おかしな感じになっちゃったところもありましたが、失敗することで、大事なポイントがどんどんわかってきます。
改めていろいろなことが見えてきます。
PART4 学校での演劇教育編
ちょっとタイトルを変えましたが、アメリカで特に行われてきたリニアドラマ(Linear Drama)とプロセスドラマ(Process-oriented Drama)を中心に手法を教え、演劇教育のアセスメントについてや、学芸会の肝となる大事なことについても取り上げました。
最後は特定のお題に対して、ロールプレイ、ストーリーテリング、リフレクションなど学んだことを生かしてどう演劇教育化するかの課題を。
演劇教育のツボのようなものはわかって、魅力的なプロジェクトを考えられるようになってきました。あとは、実戦のカンやセンスというか、ドラマファシリテーターとしての総合的な手腕をどんどん磨いていくしかありません。
演劇教育の幅の広さと深さを、これでもかというくらい知った3日間だったと思います。
振り返り
さて、1級取得者が誕生しました。総合的・網羅的に世界の演劇教育を学ぶことができました。けれども、ここは世界の入り口に過ぎず、ここからが大事になります。
TIEにせよフォーラムシアターにせよアプライドドラマにせよ、もっと完璧なプログラムを作って、実地で試してみたいという声がありました。そうですね。実戦の場でやらないと、かいつまんだ止まりになってしまいますから。1つのプログラムを作るだけで、ものすごく時間はかかりますが、一度大阪でそれができたらと思います。