vol.11 英語習得にドラマメソッドを使う

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英語習得にドラマメソッドを使う

第二外国語の習得に演劇が有効ということは、皆さんも聞いたことがあると思います。
今回は演劇教育における英語学習についてコラムを書きました。

なぜ大人になったら英語が身につかないのか?

一説には、赤ちゃんが言語を覚えるときには、右脳と左脳の両方を使っているといいます。大人になると、右脳と左脳の機能が定着し、なにか意図的に行うときには、理性や論理性を司る左脳が優位になり赤ちゃんの言語習得ます。大人になって英語学習をして、何年かけてもネイティブにはほど遠いのは、左脳中心に使っているからです。文法を理解し、単語・熟語を覚え、左脳というコンピューターで言語を処理しようとしますが、左脳に偏っていては手に負えません。実際母国語を話すときには右脳と左脳の双方のネットワークを使っています。

左脳中心になってしまうのは、机に座って、いわゆる勉強という形で英語学習をするからです。赤ちゃんはリアルな世界の中で、五感体験や感情体験をしながら、それらの体験と紐付ける形で言語を習得しています。無味乾燥なテキストやワークブックから学ぶのは、リアルな世界からかけ離れています。

演劇は体験化することができる

演劇は、生であり、感情体験であり、実生活の疑似体験ができるというメリットがあります。従って、左脳だけでなく、右脳を活性化させることが出来ます。これは、机に座ってテキストに向かっていたり、Youtubeやアプリなどで勉強するのとは大きく異なります。
せっかく単語や熟語を覚えても、実践ではまったく使えなかったという経験をした人は多いと思いますが、実践から乖離した場所で覚えたものは、実践では通用しません。なんとか、左脳を使って、理性的に英語を扱いますが、ネイティブのスピードについていけないとか、間違いを恐れて積極的に喋れないなど、じれったい思いをしてきた人は多いでしょう。

ドラマ仕立てでシミュレーションしよう

英語プラスドラマ映画を観て英語を習得するという話はよく聞くと思います。感情移入することで感情体験をいくらかできるのと、シチュエーションが目と耳でわかるので、テキストやアプリでの勉強よりリアルに近いです。しかし、もっと良いのは、そのシチュエーションを演じることです。身体と声を使い、感情も出して演じてみましょう。そのほうが、右脳も活性化させることになり、状況もイメージできるので圧倒的に定着します。

単語や熟語に関しても、ただ暗記物として捉えるのではなく、シチュエーションの中で使ってみることが大切です。相手がいなくても、演劇では想像力を使って演じるように、シチュエーションと相手を思い描いて話せばいいのです。

アウトプットへの抵抗をなくし、非言語コミュニケーション力を伸ばす

身体を使い、感情を出して、シチュエーションの中で演じるというトレーニングをしていると、外国人との会話での度胸がつくだけでなく、相手に伝える力が身につきます。コミュニケーションの多くは、非言語です。つまり、顔の表情や目線、ジェスチャーなどです。演劇を通して、非言語コミュニケーション力も鍛えられます。
実際、俳優はビジネスマン等と比べても、海外に行ってからいち早く会話力が身につくといわれます。

具体的な演劇化の方法①シチュエーションで演じる

例えば、interfereという単語がわからなくて調べたとします。そうすると、「邪魔をする、妨げる」という意味が出てきます。これを丸暗記しようとしないでください。それは、赤ちゃんとは異なる方法であり、左脳的です。例文が出ているので、例文に注目しましょう。
例えば、
Don’t interfere without my permission. 勝手に首を突っ込まないでくれ。
と書いてあります。こうした例文から、シチュエーションをなんでもいいのでイメージしてみましょう。なにか重要な案件を手がけている会社員が、同僚に向けていうかもしれません。感情を込めて、声に出していいましょう。
演じる」ということを英語学習に取り入れてください。

具体的な演劇化の方法②シアターゲームで学習する

いくつか、英語学習に便利なシアターゲームがあります。ゲームを通して、楽しく没頭しながら英語を学べば、英語へのコンプレックスも解消するのではないでしょうか。

「アルファベットレース」ゲーム
【準備】アルファベットが書かれたカードをたくさん用意して(全文字が3枚程度)床に並べる。
①講師はお題を出します。「乗り物」「好きな食べ物」など。
②生徒は、アルファベットカードを組み合わせて単語を作ります。
③その単語を表現します。(乗り物の形をマイムで作るとか、食べ物を食べるなど)
【応用】アルファベットではなく、単語カードを並べて、それらで文章を作り、表現する。

「名前しばりストーリー」ゲーム
①3~5人程度のグループを作る。
②集まったグループで1~2分の寸劇をつくる。但し、自分の名前の頭文字のスペルしか使えない。
例)TakeshiであればTなので、「tackle」「tea」「two」など
③どんな単語を使ったか、他のチームは当ててみる。

このように、楽しいゲームを通して、英語学習をすることができます。こども向けの英語教室や英語の授業でお薦めです。

他にも英語の台本を使って、役を演じながら練習するなど、様々な効果的な学習法があります。GLODEAでは、英語+演劇の学習プログラムを開発していきますし、ドラマイングリッシュティーチャー養成講座もいつか開講したいと思っています。