演劇教育家インタビュー第0回 
代表理事 別役慎司

0
528
演劇教育家インタビュー 別役慎司

「未来のために前進する演劇教育家インタビュー」第0回は、サンプル版も兼ねて、代表理事の別役慎司氏に話して頂きました。シアターゲームやインプロの先駆者であり、俳優教育やビジネス教育の名講師でもある別役氏の考える演劇教育の未来は?


 

教育の現状に対する思いをお聞かせ下さい。

今の教育は、ITを使った教育など変化してきています。それは多くの人に教育の機会を与える意味ではいいんですけど、それが理想的な教育かといえば、そうではない。
理想的な教育とは、生の人間が教える、Face to Faceで教えるという点に意味があると思います。だけど今のままだと画面を通して学んだり、コンピューターを通して学んだりすることに重きを置かれていて、実際に肉体を持つ生の教師の教える力がもしかしたら衰えているかもしれない。これって非常に危ないことだと思います。

やはり、子どもはコンピューターから学ぶのと、人間から学ぶのとでは大きな違いが出てきます。人間って自然に成長するように出来ているんです。自然っていうのは、わたしたちの世界の中で学ぶこと、五感を通して学ぶことです。コンピューターを通して学ぶと、五感をフルに使って学ぶことが出来ません。外の世界ではなく、切り取られた画面の世界になってしまう。それで本当にいい教育になるのか?

知識の詰め込みならいいんですけど、表現教育・情操教育まで考えるならば、やはり生身の人間が教える教育というものをもっと考えていかないといけません。そういう現状の中、演劇教育というのは非常に重要になってくると考えています。演劇は、生身の身体で、五感を使い、しかも楽しみながら学ぶことが出来ます。非常に理想的だと考えています。

別役慎司氏

演劇でなにが出来るのか教えて下さい。

演劇というと、自ら役を演じてお客さんに見せるというイメージがあるかもしれません。演劇の教育の使われ方は実はそうではなく、ワークショップ形式で行われています。ぼくが行っているシアターゲームやインプロは世界中で行われています。ゲーム形式で、遊びのような形です。海外の場合は、ゲームのルールや、目的や効果といったものが非常に研究されています。

目的や効果についての考え方を間違ってしまうと、大人の押しつけになってしまいます。いかに子どもたちを自由に、能動的に、クリエイティブにさせ、そこから狙う効果を出せるか――より、イキイキと生きてほしい。より子どもたち同士でコミュニケーションを取って問題解決をしてほしい。より言葉や身体を使って表現できるようになってほしい。より外界に対する反応が鋭敏になって豊かな心に育ってほしい――といった効果を引き出せるのかが大切です。

そして、教える側が、子どもたちを導き、どんなことでも吸収できる、子どもたち一人ひとりが成長していけるような環境を作り出していけるかが大事なのです。

dsc08027具体的な活動内容について教えて下さい。

ぼくはシアターゲームやインプロというものを特に重点的に教えています。ゲーム形式のワークというものは世界を見てみれば千種類以上あり、それらを俳優向けのトレーニングやビジネスマン向けのトレーニングとしても提供しています。子ども向けも大人向けとかなり似通っているのですが、レベルや取り組む内容などは違います。いずれにしても、こうしたシアターゲームやインプロなどは非常に成果を挙げています。

一つひとつが異なるゲームであり、異なる教育効果があるということはとても魅力的で、ワークショップごとにいろんなものを混ぜていけば、いつまでも飽きさせない作りになります。学校の中でも教えられるようになってくると非常にいいかなと思います。

演劇教育にまつわる本
英国で購入した演劇教育関連本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後の演劇教育の前進のために

ぼくは日大芸術学部にいたとき、それから大学院にいたとき、演劇教育に携わってきました。16年以上前になるんですけど、今の日本演劇教育の現状を見ても、さほど当時と変わってないかなと思います。なぜ日本の演劇教育が発展しないのか、うまく成果を挙げることが出来ないのか。その理由はぼくのなかでは明確にわかっているので、解決策を押し進めていきたいと思います。

ぼくの理想としてはTIE(Theatre In Education)だとかForum Theatreだとか世界で行われているちょっとハードルの高い演劇教育も日本で広まっていくといいなと思いますし、そのために講師の育成だったり、最先端の演劇教育の情報の提供、それから演劇教育に携わる人たちの交流などもより推進していって、全体を盛り上げていきたい。それが日本中の子どもたちの成長に繋がるでしょうし、教育自体の底上げになるでしょう。演劇教育という一つの形もあるよという認識がもっと広がっていくことを期待しています。


別役慎司(べっちゃくしんじ)

日本大学芸術学部演劇学科卒 日本大学大学院芸術学専攻科修士課程修了
株式会社ASCEND FEATHER代表取締役
一般社団法人日本グローバル演劇教育協会代表理事
劇作家・演出家・俳優・演技講師・研修講師

ホームページ

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here